解体工事の足場とその役割
解体工事や建設工事で「足場」というと、高所作業における足掛かりとして設置するものをいいます。
主に金属製のパイプなどを組み立てて、そこに防音シートや防塵シート等を取り付けます。
工事現場における足場は、その後の工事の拠点となって作業を支える重要な役割を担っています。
足場の種類と特徴
解体する建物や建築する建物は、それぞれに構造や大きさ、周囲環境が異なります。
それによって使用する足場の種類も変わります。
足場の種類とそれぞれの特徴について説明します。
①くさび足場
鉄パイプを支柱として、そこに手すりや筋交いなどをハンマーで打ち込んで組み立てる足場です。
鉄パイプには一定間隔に隙間があり、そこにくさびを打ち込んで固定していきます。
ハンマー1本で簡単に組み立て、解体ができ、複雑な形状の建物にも対応できることから、低層から中層の建物に一般的に用いられている足場です。
【くさび足場のメリット】
・ハンマー1本で組立・解体ができる。
・工期が短い
・複雑な形状にも対応しやすい。
【くさび足場のデメリット】
・高層建物には使えない。
・ハンマーで鉄パイプを打ち付けながら設置するため、設置に金属音の騒音が伴う。
②枠組み足場
構想建造物に使用できる強度をもった足場で、地上から45m(14階~15階程度)までの建物に使用できます。
門型に溶接された鋼管の建枠に、ジャッキベース・筋交い・鋼製布版などの部材を組み合わせ、積み上げて構成していきます。
このほかに部材も、連結ピン・アームロック・枠型・壁繋ぎ・手すり柱など種類が豊富で、軽量かつ部材強度も高く耐久性に優れています。
そのため、安全性の高い足場になっています。
さらに組み立て時にはハンマーを使わず、ボルトや番線を使って組み立てるため、くさび足場より騒音が少ないといった特徴があります。
【枠組み足場のメリット】
・種類が豊富、軽量かつ高い耐久性をもつ部材で、安全性が高い。
・組み立て時の騒音が少ない。
【枠組み足場のデメリット】
・組み立て時に、他の足場よりも時間を要する。
・多くの部材を使い分けるため、他の足場よりもその作業に慣れている必要がある。
・クレーンを使用するため、そのスペースが必要となる。
③単管足場
直径48.6㎜の鉄パイプを組み合わせてつくる足場です。
強度や安全面は他の足場よりも低いため、31m以下の建物に対する作業時に用います。
【単管足場のメリット】
・狭いスペースや低層の外壁でも利用が可能。
・単管パイプとそれらを繋ぐためのクランプといった少ない部材で、敷地に合わせた形状を設けられる。
【単管足場のデメリット】
・強度や安全面が他の足場よりも劣るため、適用できる建物に限界がある。
・組み立て解体作業等の難易度が高い。
④単管ブラケット足場
単管足場に足をのせる板を取り付けてボルトで固定した足場です。
単管足場では、作業員は2本の単管(鉄パイプ)の上を渡り歩きますが、足をのせる部分が広くなるため、安全性が高くなります。
【単管ブラケットのメリット】
・単管足場よりも安全性が高く、3階建て程度の建物にも使用できる。
【単管ブラケットのデメリット】
・板とボルトを1つずつ固定するため、時間を要する。
・固定時に音が立つため、周囲塀枠をかける必要がある。
⑤脚立足場
2つの脚立に足場板を通して足場とします。
屋内の壁や天井の作業時に用いられる足場です。
【脚立足場のメリット】
・すぐに足場が作れる。
【脚立足場のデメリット】
・適用範囲が狭く、固定していないために安全性に欠ける。
⑥無足場工法
足場を設置しないで、ビルなどの建物の屋上に吊元となる機械を設置して、そこから吊り下げられたロープやゴンドラを使用して作業します。
【無足場工法のメリット】
・足場を組まないために、足場費用がかからない。
【無足場工法のデメリット】
・不安定な状態での作業となるので、危険性が高まり時間もかかる。