SRC造の建物の解体方法
鉄骨鉄筋コンクリートで建てられた建物を解体する方法は、大別して「階上解体」と「地上解体」に分けられます。
階上解体
小型の重機を大型クレーンによって最上階か直下階に設置し、上から下へと解体していく方法です。
SRC造の建築物は構造が頑丈で高さもあるため、この階上解体方法が現在では多く取り入れられています。
地上解体
地上に大型の重機を置き、上から下へと解体していく方法です。
ロングアームが届く低層階仕様の建築物ならば、階上解体時よりも安全性を向上させられるという利点があります。
主な解体工法
建物自体を解体する際の工法としては、主に「大型ブレーカー工法」「ハンドブレーカー工法」「圧砕機工法」「転倒工法」があります。
大型ブレーカー工法
大型ブレーカー工法とは、油圧ショベルのような大型重機に大型のブレーカーを搭載して、壁などのコンクリートを破壊・解体していく工法です。
部分的な解体や、圧搾機などが使用できないような狭い場所での作業で使用されます。
ハンドブレーカー工法
ハンドブレーカー工法は、人の手によってブレーカーを操作してコンクリートの破砕を行なう工法になります。
ハンドブレーカーは、全長約70cm、重量約20kgが一般的な大きさで、人が持ち運ぶことができるコンパクトなサイズの打撃用機械です。
そのため、重機が入れないような狭い場所でも、解体作業を行うことができます。
ただし、ブレーカーを使用する際は、騒音や大量の粉塵の発生するデメリットがあり、防音や防塵設備の設置が必要なケースもあります。
圧砕機工法
圧砕機工法は、油圧を用いてはさみ状のアームを鉄骨等に挟み込み、圧縮させて破壊させる重機をいいます。
コンクリートの解体工事では、最も適用事例が多いとともに、汎用性が高い技術です。
この工法のメリットは騒音や振動が比較的少なく、鉄筋や鉄骨入りのコンクリートを能率よく切断・圧砕できることにあります。
転倒工法
転倒工法による解体は、高い外壁や柱、煙突などを解体する技術で、解体時に粉塵の飛散を防止する上でも有効な工法です。
重機を使ってそれらを地面に引き倒してから、コンクリートや鉄骨を運搬しやすい大きさにカットしていきます。
ただし、作業には高度な技術が必要です。
転倒工法は、粉塵の飛散量が少なく、作業する敷地を最小限に抑えることができ、また、高所などでの危険な作業を減らすことができるメリットがあります。
敷地が狭い建物に有効な工法ですが、作業には熟練した高度な技術や、豊富な経験が必要です。
SRC造の解体の流れ
①現地調査
現地調査では、建物本体だけでなく、付近の道路状況、使用できる重機や車両、付帯工事の有無など、見積書の作成に必要な項目を詳しくチェックしていきます。
調査の際は、依頼人も立ち会って、工事の範囲や近隣への影響などについて確認しながら、工事の規模や工法などを決めていきます。
②近隣への挨拶回り
現地調査後、関係各所に対して届け出や契約の締結を終了させると同時に、近隣への挨拶回りを行います。
解体工事では、騒音や粉塵、工事車両の出入りなど、近隣への影響が大きいため、事前の挨拶や説明は必要不可欠です。
③足場設置と養生
高所での作業を伴う工事では、足場を設置して安全を確保します。
また、粉塵などの飛散防止のために、養生シートを設置します。養生シートによって、近隣への影響を最小限に抑えることができます。
④内部解体
建物本体を解体する前に、建物内部を解体処分しておきます。
内部解体では、建物内部に使用される建材や断熱材などを基本的に手作業で撤去します。
また、アスベストが使用されている場合は、この段階で撤去工事を行います。
⑤上屋解体
建物の基礎以外の部分を「上屋」と呼びます。内部解体が終わったら、上屋を解体していきます。
重機を中心として、埃が飛散しないように散水しながら、壁や柱、梁の解体・撤去作業を進めます。
基本的に、最上階から解体を始め、上から下へと進めていき、最後は基礎部分だけが残ります。
⑥基礎及び地中障害物の解体
上屋の解体で現れた基礎を解体します。
鉄筋コンクリート造りの基礎には、地中深くまで杭が打ち込まれているため、山留工事などを施しながら、基礎部分と杭を解体撤去します。
また、埋設物などの地中障害物があれば、更地化したあとで問題が生じないように、解体撤去を行います。
⑦埋戻しと整地
地中深く打ち込まれた杭や地中障害物などを撤去するために、地面を深く掘り下げることになります。
後で利用可能な更地にするためには、この掘り下げた部分を埋め戻し、最後に整地しなければなりません。